Kiss:第15回『Kiss IN』結果発表&全作品講評|講談社コミックプラス
第15回『Kiss IN』結果発表&全投稿作講評
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シルバー賞 賞金20万円

『やさしい黒』(35p)
ふゆくらそよ 北海道・19歳
【あらすじ】
 火山の噴火で家族を亡くした又造。彼の全身の火傷を忌み嫌い周りの人々は距離を置き、彼もまた心を閉ざしていた。そんな又造は唯一、墨絵を描いているときだけは自由なのだった。そこへ突然おゆきという少女が現れ、臆することなく又造に近づいてきて……。

【講評】
 ふゆくらさんは前回のA賞から大きくランクアップ。相変わらず、魅せよう・演出しようという意識が高く、画面作りが上手です。読んでいて心に届く場面がいくつも際立っていました。キャラの気持ちも一貫して伝わってきますし、お互い心に傷を抱えた少年と少女の交流が丁寧に、しかし語りすぎて説明臭くはならず、気持ちの良いテンポで描かれていました。
 ですが、やはり前回も指摘されたように、場面と場面の繋がりの分かりにくさや、やりたいことは分かるけれど背伸びをしすぎて中身が伴っていない感、が問題でした。墨、雪、灰といったキーワードで、黒と白の世界を対比させ、少年の心の変化とリンクさせる描写が、画力不足、経験値不足で生かしきれなかったのが残念。また、ページのめくりだけで時間経過を表すなど、漫画的表現として少々強引なところがあり、シーンの切り替わりが分かりづらかったです。又造が病床のおゆきのために紙をちぎって雪を降らせるクライマックスシーンも、余計な説明がないだけに、それがおゆきの視た幻だったのか、実際に又造がしたことなのかが判然としませんでした。無粋に言葉で説明をする必要はありませんが、ワンカット、それを示唆する画をはさむなどで、補足がなかったのはむしろもったいなかったのではないでしょうか。
 作画の面では、背景がうまく描き込んであるコマと、手を抜いてしまったかな?というコマの差が激しかったです。それが、メリハリというよりは、背景が弱い印象を生んでいるので、特に意図的に人物を強くしたいコマ以外は、もう少し丁寧に描き込むとより良いでしょう。
 この調子で成長を重ねられることと思います。次回作も期待しております。
 


ブロンズ賞 賞金10万円

『1たす1ひく1』(36p)
東野ふき 愛知県・21歳
【あらすじ】
 引っ込み思案なリサは野球部のマネージャー。夏休み中の部活をきっかけに、クラスでも人気者の野球部員・蜂谷くんとつきあい始めるが、彼の幼なじみで同じクラスの活発系女子・遠子に良く思われていないようで……?

【講評】
 Kiss INの第4回でブロンズ賞、第10回でシルバー賞を受賞されている東野さん。今回もよくまとめられた作品でしたが、前回よりも評価が下がってしまったのは、全体的にいろんな要素を盛り込み、複雑な設定に取り組んだ意欲が、ちょっと「読みにくさ」になっていることが大きかったです。
 家が隣同士で小さい頃から互いをよく知っている蜂谷くんと遠子、つきあい始めたばかりのリサと蜂谷くん、蜂谷くんの幼なじみである遠子と仲良くしたいと思うけれどうまくいかないリサ、そしてリサに対する遠子の想い…と、3人それぞれの思いや関係性を深く考え、掘り下げたところは、作品作りに対する真摯な姿勢が伝わってくる部分でした。つきあい始めの二人の初々しさや、幼なじみならではの空気感などもうまく表現されていたと思います。ただ、これら全てが絡みあい、ストーリーとして展開していくと、設定のややこしさや要素の多さによって、物語の視点がずれたり、場面転換が分かりづらくなるなど、ややマイナスの方向に働いてしまったかもしれません。特に、作品中、もっとも大きな「悩み」を抱えているのが、主人公ではなくサブキャラである遠子だ、というところで、主人公の存在感を薄めてしまったのではないでしょうか。誰の目線で、何を伝えたいお話なのか、もっと整理されていたら、と思うと残念です。
 いつもながら丁寧な作画ですが、今回は少し、絵柄を変えられたようですね。人物の線が太く力強くなったのは好みがわかれるところですが、東野さんの繊細な心情を描く作風とは、あまりマッチしていないような印象です。自分の世界観に合う絵柄を見つけるまで試行錯誤を繰り返すのは決して悪いことではないですし、今作からも、もっと作品を良くしたい、という志は伝わってきましたので、これからもいろいろ試しながら、ぴったりとくる線を見つけていってほしいところです。全体としては、以前よりも背景を省略するところはしていて、メリハリのある見やすい画面作りをしようという工夫も感じられました。この調子で、自分なりの努力を続けていただきたいと願っております。
 今後は、読み手に伝えたいテーマがしっかりと届く、シンプルでストレートな話にも挑戦してみてほしいです!
 



 
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