子供のころから偉人なの?
そのカゲには“大人の支え”があった……少年少女時代をクローズアップした新しい人物伝!!
当時フランス王国は、イギリスとの戦いに王族間の対立も加わり、危機におちいっていました。北フランスを占領するイギリス王がフランス国王も名乗り、王太子シャルルはパリを追われて、ロワール川の南のシノンにのがれていました。王太子側の抵抗の拠点オルレアンの町はイギリス軍に囲まれてすでに半年、陥落を待つだけの状態にあったのです。そのとき、「オルレアンを解放してフランス王国を救え」という《神のお告げ》を聞いたと自称する娘があらわれ、敗戦続きのフランス兵の士気を鼓舞して短時日の間に町を解放し、王太子をランスで戴冠させてフランス王国の危機を救いました。フランス史に名高いジャンヌ・ダルクです。しかし、少女はまもなく反対派との戦闘で捕らえられ、イギリスが占領するルーアンの町で教会裁判にかけられ、《異端者》の宣告を受け火刑に処せられて19歳の生涯を終えています。けれど、火刑の恐怖におびえながらもおおぜいの判事の尋問を前に自己の信念を貫いて、「イエス様」と呼びながら火刑台の上に息絶えた少女の答弁の記録は、後世の詩人や作家たちの感動を呼び、国境を越えて数多くの作品を生むことになりました。(『ジャンヌ・ダルク処刑裁判』高山一彦訳、白水社刊)ジャンヌに関する史料や文献を世界的規模で収集するオルレアンの「ジャンヌ・ダルク研究センター」には、1万数千点の書物やフィルムが収納され、公開されています。この本はコミックですが、史実にかなり忠実な作品として、このセンターの書棚を飾ることになりましょう。――仏オルレアン市立ジャンヌ・ダルク研究センター創立時名誉委員(1974年~)、成蹊大学名誉教授 高山一彦
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