「高杉晋作は ぼくのすべてだった」
友情と言うには重く、愛情と言うには血なまぐさい感情──。
もと奇兵隊総督・赤根武人は、長州の裏切り者として牢獄に囚われていた。
だが、敵の密偵となることを条件に、新選組の監視のもと自由を手に入れる。
すでに故郷には帰る場所もなく、残ったものはその身と命だけ。そんな武人の胸を焦がす、ある男の存在とは……?
時代に翻弄され、袂を分かった二人の男。その行き着く果てを描いた、邂逅の物語。
もと奇兵隊総督・赤根武人は、長州の裏切り者として故郷を追われていた。幕府側は、捕縛した武人を対長州の密偵にしようと画策。新選組の監視のもと、武人は自由を手に入れる。広島・厳島で、新選組の伊東と対決する武人。そう、武人はただ一人になった今でも、長州のためを思う志士の一人だった。伊東を振り切り、武人が目指すもの。それは、すべてを失ってもなお、武人の心を占める、ただ一人の男、高杉晋作との再会だった。
+ もっとみる