「奪い、奪われることのない“くに”を作る」。それは盗賊の少年が思い描くには、あまりに壮大で矛盾した夢だった。時は戦国初期。繰り返される戦に、民は傷つき、飢え、苦しんでいた。両親を失った孤児・九兵衛は、奴隷として売られるところを、野盗団の棟梁・多聞丸に救われる。乱世で成り上がり、大名を目指すという野望を語る多聞丸に、九兵衛は魂の鼓動を感じた―――。歴史小説の傑作『じんかん』から生まれた、新たな戦国英雄譚!
絶えぬ戦火に全てが荒廃した戦国初期の日本。「誰にも奪われることのない”くに”をつくる」──。そんな大志を抱いた多聞丸が、夢の途上で散った。孤児の九兵衛は、生き延びた弟の甚助と日夏とともに寺に身を寄せ、多聞丸から継いだ遺志を果たす好機を伺うが、孤児が大名になる道はあまりに遠い…。そんな折、九兵衛は阿波の「三好」なる武将の存在を耳にし、夢への足がかりにするが…!?
+ もっとみる