日本の夜明けは、江戸の暮れ。刀、喪くしたお侍、「斬る」も「生きる」も風まかせ。 明治新政府許すまじ――不平士族が政府要人の暗殺を企て、震撼する帝都。しかし男たちがいたずらに流す血のかたわらで、女たちの涙もまた巷に流れる。急変する歴史の裏で綴られる「人間」たちの物語に、我らが主人公、元・同心の千羽兵四郎が寄り添い、斬りこむ。そして、元・新選組など多様・多彩な人物がひしめく警視庁の実像が露わとなる――。
1922年、兵庫県養父市生まれ。東京医科大学在学中の’47年、探偵小説誌『宝石』の第一回懸賞募集に『達磨峠の事件』が入選。’49年に『眼中の悪魔』『虚像淫楽』の2編で日本探偵作家クラブ短編賞を受賞。’58年から始めた「忍法帖」シリーズでは『甲賀忍法帖』『魔界転生』などの作品があり、爆発的ブームに。その他本作『警視庁草紙』に始まる明治もの、『室町お伽草子』などの室町もの、『戦中不戦派日記』『人間臨終図巻』など、著作多数。2001年、79歳で逝去。本年2022年で生誕100周年を迎える。
1978年、愛知県豊橋市生まれ。’98年、第55回手塚賞佳作受賞作の「CHILDRAGON」でデビュー。代表作に『爆音伝説カブラギ』、『[R-16]R』(講談社)など。その後、講談社ヤングマガジンで『不死身の特攻兵 生キトシ生ケル者タチヘ』を連載。同作で見せた、時代色と熱き人間ドラマを描く手腕は本作『警視庁草紙』においても遺憾なく発揮されている。