「うちの旦那が甘ちゃんで」既刊・関連作品一覧
- 電子あり
- 受賞作
はっきり言って月也は「ぼんくら」である。月也とは、南町奉行で風烈廻方同心を拝命している、沙耶の旦那のことだ。のほほんとした性格から、盗人を取り逃がすことが多く、付き人である小者たちは愛想を尽かして次々に辞めていった。小者は捕り物の補助や身の回りの世話をする重要な存在で、小者がいなければ同心は能力の半分も発揮できない。次の小物をどうやって手当てすればいいのか。沙耶が思いついたのは、なんと自分だった!
はっきり言って月也は「ぼんくら」である。月也とは、南町奉行で風烈廻方同心を拝命している、沙耶の旦那のことだ。のほほんとした性格から、盗人を見つけても取り逃がすことが多く、付き人である小者たちは愛想を尽かして次々に辞めていった。小者は同心が私費で雇い、捕り物のときの補助や身の回りの世話をしてもらう。一心同体で捜査にあたり、小者がいなければ同心本来の能力の半分も発揮できないと言える。次の小物をどうやって手当てすればいいのか。考えあぐねていた沙耶が思いついたのは、なんと自分だった。「御用だ!」。